今回は、映画の
レビューをしていきます。
映画紹介
「かしこい狗は、吠えずに笑う」は、
2013年に公開された映画。
主演は、mimpi*β(盤上あや)、岡村いずみ
脚本/監督/編集、渡部亮平による自主制作映画。
製作費150万円、
演技経験ゼロの主演女優2人、
mixi、Twitterの募集で
集まったスタッフにより
制作されたこちらの作品は、
ぴあフィルムフェスティバル
第13回TAMA NEW WAVE
福岡インディペンデント映画祭など
数々の映画コンテストで
グランプリをはじめ、
様々な賞を受賞しています。
映画公式ホームページ
http://kashikoi111.web.fc2.com
映画Facebookページ
https://www.facebook.com/kashikoi.inu
製作時24歳の渡部亮平さんは現在、
テレビドラマ、映画界で
脚本家として大活躍中。
どんな映画なの?
映画紹介のキャッチ
友達、どこまで許せますか? 少女たちの純粋さと狂気を描いた、 ガールズサスペンスムービー!
これが全てで、友達のいない、
いじめられっ子の女子高生同士
の間に生まれた友情と、すれ違いが
リアルに描かれています。
演技経験ゼロというのが妙にハマったか、
リアルな女子高生像が出来上がっていて
保護者としての目線で見てしまいます…。笑
「かしこい狗」とは?
映画のタイトル
「かしこい狗は、吠えずに笑う」
こちらに込められた
意味について考えていきます。
冒頭のシーンに登場した犬
例として、作中で犬が登場するシーン。
冒頭のシーンが印象的ですね。
ロープに繋がれていない犬が、
自由に歩き回っている。
しかし、この犬は
「車に轢かれて死んだ。」と
作中で明かされていますので、
病気などしていない限り、
かしこくはありません。
冒頭のシーンでも、
吠えてはいませんが、
笑ってもいませんよね。
栗田保(非常勤講師)
次に、非常勤講師の、栗田保。
清瀬イズミの発言に
「盛りのついた犬は
手に負えなくて」
とあり。
数学教師→かしこい
ということで、栗田保のことを
表しているのかと思いましたが、
やはり、吠えていますし、
笑っている姿も奇妙です。
彼を表しているわけではないでしょう。
清瀬イズミ
特に吠える様子もなく、
チワワのような
笑顔が可愛らしい、
清瀬イズミこそ、
タイトルにふさわしい人物なのではないか。
とも考えましたが、
衝動的な一面から、
かしこさは感じられません。
ただ、熊田美沙との関係を
急激に縮め、親友と呼び合う
仲を形成している点などは
かしこい、と言えるのかもしれません。
熊田美沙
それなら、熊田美沙こそが
「かしこい狗」だろうと考えますが、
彼女は熊ですし、作中で
ブルドッグとも呼ばれますが
笑っているシーンは、
数える程しかありませんよね。
西尾アヤ
まさか、意外なところで、
アヤを当てはめたタイトル
なのかもしれません。
アヤは作中で吠えまくっていますよね。
あれが、笑顔でいられたら、
結果は変わっていたかもしれません。
皮肉をとったタイトルとは、
イカしてますね。笑
※ちなみに「狗」は
小さな犬、可愛らしい犬
を表す際に使う感じのようです。
現代では、ほとんど
使われることはありません。
映画が視聴者に伝えたいこと
この映画が伝えたいことは、
エンドロールの直前に、
熊田美沙が発した言葉
「犬は鎖に、金魚は水槽に、
鳥は籠に、私を守るのは…。」
これに込められている
のではないかと思います。
犬は鎖に繋がれていれば、
人間が面倒を見てくれる。
金魚は水槽に入っていれば、
人間が面倒を見てくれる。
鳥はカゴに入っていれば、
人間が面倒を見てくれる。
ただ、人間は、誰かが
面倒を見てくれることはありません。
ある種、自由です。
自由な反面、さまざまな人間がいます。
模範的な人間というものは、存在しません。
子供のうちは、
ある程度親が面倒を
見てくれるかもしれませんが、
最大の幸せ、楽というのは、
簡単には手に入りません。
そう言えば、これもナポレオンですね。
恐怖と利益を持ってすれば、
面倒も見てもらえるでしょう。
文字にして気がつきましたが、
そう言えば犬も、金魚も、
鳥も、作中で死んでしまっていますね。
なんだか、私が考える以上に
深い意味が込められている気がするのです。
赤い目、青い目
本作ではかなり印象的なシーン。
変わりたいと思っても、
いつも無理だった。
いじめられっ子で、
友達のいない熊田が、
イズミと出会って、
変わり始めたと感じた矢先。
イズミが目に違和感を覚え、
鏡を覗くと目の色が赤い。
鏡を嘘だと思い、花瓶で割ると。
目は、元に戻っています。
「自分を守る嘘、
あんたの武器でしょ。」
どうやら、イズミは
自分を騙して生きているようです。
イズミがいなくなって、ある日
熊田が目に違和感を覚えた際も、
やはり、目が赤くなりました。
しかし、イズミのように目が
普通に戻ることはなく、
今度は青くなりました。
「自分を守る嘘、あんたの武器でしょ。」
「私を守るのも、私だけ。」
意味するものは?
この赤と青が意味するものは何なのか。
ずっと分からないままでしたが、
今回こそは理解しようと考え、
作中での色の描写に注目したところ
イズミが熊田にペディキュア
を塗るシーンを思い出しました。
色は赤です。
そして、もうワンシーン、
作中で、ペディキュアに
スポットが当たるのは、
イズミがいなくなったある日のこと、
熊田の足です。自然と青色に染まっています。
これが何を意味するのか、
もうピンと来ましたね?
おそらく、イズミからもらったものは、
もう必要ない。私は私で生きていける。
彼女に飲み込まれる私は、もういない
ということを伝えたいのではないでしょうか。
エンドロール後のシーン
この作品はエンドロール後も、
かなりインパクトがあります。
1分ほどの尺しかないシーンなのですが、
以前、イズミが座っていた席に、
熊田が座っており、授業中に携帯電話が鳴り
教師に取り上げられた生徒を
まっすぐに見つめています。
これが何を意味するのかというと…
おそらく、熊田が、
以前イズミのいた席で、
気になる人を真っ直ぐ見つめているという、
イズミと同じ行動を映しているあたり、
熊田もまた、彼女のようになるのでしょう。
気掛かりなこと
事件の後、新聞にて
報道がなされましたが
記事には、被害者2名の名前しか
公開されていない点、
気がつきましたでしょうか?
作中では、アヤを含め、
3名が亡くなっているはずです。
何かが変なのです…。
熊田も制服が変わっていない様子を見れば、
転校はせずに、以前と同じ学校にいるはず。
普通じゃない、何かがおかしい。
あとがき
今回は「にゃめちドットコム」初となる、
映画レビュー記事の公開となりました。
なお、誰もが理解できる、
と思われる演出へは
スポットを当てず、
私自身が複数回視聴しても
理解の難しい演出について、
考察を書いています。
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